ここは重信川の河口。潮がひくと広大な干潟があらわれる。
干潟はいちめん泥でおおわれていると思われがちだけれど、そんな単純なものではないようだ。
ほらね。近づいてよく見ると、頭くらいの大きな石、握りこぶしほどの石、指の爪ほどの礫、さらさらの砂、しっとりとした泥など、意外にも粒の大きさはずいぶん違う。さらに、ほんの僅かな標高の違いによって、干満という水位変化によって、空間的にも時間的にも水分条件が異なる。植物が生えている場所もある。よくよく見ると、干潟には少しずつ異なるさまざまな場所がモザイク状に配置されているのだ。
水辺の生きものには、ちゃんと場所の好みがある。
例えば、アシハラガニ(写真上)とヤマトオサガニ(写真下)。アシハラガニの足元は砂地なのに、ヤマトオサガニは泥の穴から這い出しているのがわかってもらえるだろうか。干潟に棲んでいるのは この2種だけではない。多くの動植物が 空間的にも時間的にも それぞれ好みの場所を選択して生きている。
衣服が汚れるからといって干潟を遠くから見るのではなく、
こんなことを考えながら、なかをゆっくり歩きまわってみるのも とてもとても楽しい。
33.804791,132.693901