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2013.5.9 

「はたのみち草第1回』
口屋内の沈下橋

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michikusa

「この橋はな、わたしらぁが作った橋なが。」
校外学習でやや浮き足立った子どもたちが構える
ビデオカメラに向かって地元のおばあが語る。
交通と名のつくインフラの整備が行政に委ねられた昨今、
こんなセリフを聞くことは珍しい。


01A

「口屋内の沈下橋」

”この橋”とは四万十川の下流域、支流黒尊川との合流地点にある口屋内(くちやない)と呼ばれる集落に架かる沈下橋のことだ。正式な名前は「屋内大橋」だけれど、そんな呼び方はとんと聞いたことがなく、もっぱら「口屋内の沈下橋」と呼ばれている。
念のため四万十川の沈下橋について少し触れておくと、欄干をもたず増水時に水没することで災害からその身を守るコンクリート橋のことで、川面から高い位置に架橋される橋に比べ橋桁が水面に近く、その「近さ」が川と暮らしの近さを象徴するものとして、今や四万十川の代名詞的な扱いをされることも多い。同様の橋は大分県に古例があり、高知県以外にも潜水橋、沈み橋など呼び方にバラエティはあるものの類似する形状の橋が各所にある。

四万十川の沈下橋は本流だけでも20橋を超え、存在自体はこの流域で珍しくはない。けれど、流域で「美しい」沈下橋を挙げるとなると、必ず口屋内の沈下橋の名が挙がる。橋桁の平面、断面ともにやさしいカーブを描く独特のフォルムと、それを包み込むように立ち上がる橋脚は絶妙のバランスで仕上げられていて、設計者の強いこだわりが伺える。ちなみに中流域にある上岡の沈下橋(向山橋)はこの橋をモデルにデザインされたもので、兄弟のような沈下橋だ。
僕は初めてこの橋を見たときからどういうワケか妙な安心感を感じていて、今でも通りすがりになんとはなく車を止めてしまう。それはどこから見ても曲線でできているカタチのせいかもしれないし、コンクリート製の太い橋脚のせいかもしれない。

02A

もう一つ口屋内の沈下橋が他と違うところが、「橋が繋いでいるもの」。
橋という性質上川の対岸間の行き来を目的に作られているわけで、対岸にあるのは別の集落であることが一般的だ。
ところが、口屋内というところは四万十川を挟んだ両岸がひとつの集落なのである。
なので、口屋内の沈下橋は「集落同士を繋いでいる橋」ではなく、左岸の野加辺地区と右岸の本村地区を繋ぐ「集落内の道」なのだ。そういう目で口屋内という集落を見てみると、左岸側の野加辺地区には病院や郵便局、旅館等公共の施設が多いが宗教施設はなく、本村地区は川沿いに農地が、山裾には人家が広がっていて小高い場所に神社が祀られている。同じ集落の中で、右岸側と左岸側ではやや異なる役割を持っていて、その間を繋いでいるのが口屋内の沈下橋というわけだ。

はたのみち草 12345678


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