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2015.7.22 

畑から作ったオーガニックコスメ 〜美しくたくましき、土佐のはちきん社長〜

のどかな農村風景が残る南国市久礼田。そこにある一棟のビニールハウスから化粧品が生まれました。原料の栽培から処方にまでこだわった高知発のオーガニックコスメ。作ったのは、まっすぐな気質を持つ土佐の女性「はちきん」を地でいく女性社長。「私がやらんで、誰がやる?」そんな熱い気持ちが込められています。

きれいになりたい女心を、バカにするな。

全成分の95%以上が天然由来成分で、さらにその植物成分の90%以上がオーガニック原料で作られている、正真正銘のオーガニックコスメ「天海のしずくオーガニック」。作ったのは高知市にある有限会社アフロディア

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アフロディアは化粧品開発を主体にエステサロンも営んでいますが、初めてお店へ行ったとき私は拍子抜けしてしまいました。というのも、エステサロンといえば個室に連れて行かれて契約するまで帰れない雰囲気にされる…女性であれば一度は経験があるはずですよね。でも、アフロディアはそれがなかったのです。

「私たちのサロンは美しくなりたかったら夜10時にはお布団に入ってよとか、インスタント食品はやめましょうとか、おへそから下は冷やさんようにとか、そこから始まるんです。それにエステをしても、朝晩肌に良くない化粧品をつけてたらキレイにならないでしょう? お金ももったいないでしょう? その時だけやってもダメなんです」

あぁ、このまっすぐな感じ。高知の人なら分かるはず。これぞ土佐のはちきんと言わんばかりの気持ち良さ。話すのは代表取締役社長の西川きよさんです。

割烹着姿でグァバ葉を収穫する西川きよさん。

割烹着姿でグァバ葉を収穫する西川きよさん。

子どもの頃から「蚊に刺されたら真っ赤に腫れてなかなか治らず、下着のゴムすらダメ」という、かなりの敏感肌だった西川さん。美容の世界へ進むきっかけとなったのは就職でした。

「社会人になると女性はお化粧をしないといけない。でも、自分の肌に合う化粧品がない。それでも無理に化粧品を使い続けたせいでシミやシワができてしまい、それをなんとかカバーしようとして、さらに化粧品を使って余計にひどくなってくる・・・その悪循環から抜け出すためには、自分で化粧品を作るしかないと思ったんです」

こうと決めると一途に進む、まさに「はちきん」らしい性格が後押しとなり、ちょうど40歳の頃に今の会社を起こしました。さっそく自身が納得できる化粧品作りに着手した西川さんですが、目の前に美容業界の闇が現れます。とある化粧品原料会社と打ち合わせをしているときのことです。

化粧品に配合される有効成分は同じ成分でも質に応じて値段がランク分けされています。質が良ければ高価になり、安価なものはそれなりのもの。肌にいいものをと考える西川さんは当然一番質が良いものを選択しますが、相手の男性営業マンがこんなことを言ったのだそう。
【それは皮膚科や美容外科が治療に使うものですよ。化粧品でしょ? 一番安いのでいいですよ。それをちょっとだけ入れて『こんな有効成分が入ってますよ〜』と宣伝したらいいんです】

「それを聞いた瞬間に、きれいになりたい女心をバカにするな! と思ったんです。そりゃ、あなたは男性やき使わんからいいでしょう。でも、私たち女性は使ってキレイになりたいんです!と。 美容の世界がまだまだ男性社会であることが分かり、その裏側を知らない女性たちが餌食になっていることを思ったときに『私がやらんで、誰がやる?』『えいの作るき待ちよりよ!』という気持ちになりましたね」

ハートに火がついたはちきん社長は「正しい化粧品を普及しよう」と決意。「お金儲けの道具になってしまった化粧品ではなく、本物を女性達に分かってもらいたい」と化学物質を抑えた機能性コスメシリーズ「天海のしずく」を開発。もちろん西川さん自身の肌で確かめて、納得のいく商品に仕上げました。
そして、西川さんは「食べたもので体は作られるから」と体内美容にも着目。ちょうどその頃に、一人のお客さんがスマートになって肌も美しく変化したのだそう。その効果をもたらしていたものこそが高知県産のグァバ葉だったのです。

有機JAS認定畑で育てた原料を使って。

南国土佐の太陽を燦々と浴びて育つグァバの葉

南国土佐の太陽を燦々と浴びて育つグァバの葉

熱帯や亜熱帯地域で育つ植物「グァバ」。その葉はポリフェノールを含んでおり、糖の吸収を穏やかにし、血糖の上昇を抑制する作用があることから古くから健康茶として飲用されてきました。高知県幡多郡黒潮町にはグァバを30年以上にわたって無農薬で栽培し、茶葉に加工している農園があり、美しくなったお客さんが飲んでいたのはそこのグァバ茶だったのだそう。
強く興味を引かれた西川さんは、高知県と高知大学が提供するプログラムを活用してグァバ葉について本格的に研究。より成分を効果的にする焙煎方法や抽出方法を見つけ、黒潮町にある農園のグァバ葉を仕入れてグァバ葉ティーを商品化しました。ところが、順調に売れすぎてしまい茶葉の生産が追いつけなくなる事態に。そこで20アールの自家農園を開園。自らグァバの栽培を始めたのです。

グァバが並ぶ自家農園「エンジェルガーデンHappy」

グァバが並ぶ自家農園「エンジェルガーデンHappy」

グァバ葉ティーが評判を集めるなか、西川さんのもとにこんな声が寄せられるようになりました。【最近、肌が敏感なんです】。ちょうどPM2.5などによる大気汚染が取り沙汰されていた頃。環境の変化が女性達の肌にも変化をもたらしていたのかもしれません。

「自分に合う・自分が使える化粧品がないということは切実な悩み。それは私自身が経験し、一番よく分かる悩みでした」

実は茶葉としての研究を行なった際、グァバ葉には美白効果や抗酸化作用があることを発見していた西川さん。そこで自家農園のグァバ葉を使い、本当に安心して使えるオーガニックコスメを開発しようと考えました。

近年市場を急成長させているオーガニックコスメですが、オーガニックと謳いながら化学成分を用いたり、トレーサビリティーが明確でない輸入原料を用いているものも少なくないといい、日本にオーガニックコスメの国家認定がないのもその一因となっています。そこで、西川さんは主原料を栽培する農園そのもので有機JASの認証を取得。虫や雑草は農薬・除草剤を一切使わず自分たちの手で取り除き、化学肥料も使わず、高知の強烈な太陽、そして、きれいな水と空気の恩恵を受けながら主原料となるグァバとヘチマの栽培を始めました。

手作業で収穫したグァバ葉。さらに手作業で一枚一枚洗い、乾燥させてから原料にします。

手作業で収穫したグァバ葉。さらに手作業で一枚一枚洗い、乾燥させてから原料にします。

高知と徳島を結ぶ「本物を作りたい」という思い

「本物のオーガニックコスメを作りたい」
西川さんのその思いを形にしたパートナーが同じ四国にいることもご紹介させてください。それは徳島県にある「日本漢方医薬研究所」の代表取締役である片山智子さん。国内に17社しかない医療用漢方の承認を得た製薬メーカーで、化粧品の原料は生薬を中心とした天然成分にこだわり、自社農園で自然栽培に取り組むほか、漢方医薬品の製造技術を活かした化粧品開発を行っています。

日本漢方医薬研究所 代表取締役・片山智子さん

日本漢方医薬研究所 代表取締役・片山智子さん

製品化するにあたって、西川さんはいくつかの製造メーカーと話をしてきましたが、【原材料にお金をかけすぎ。意味ないですよ】と言われ、自身の思いをなかなか理解してもらえなかったそう。その中で唯一、『私も本物を作りたいから、やりましょう!』と言ってくれたのが日本漢方医薬研究所の片山さんだったとか。「力強いパートナーです」と西川さんは絶大な信頼を寄せています。

石油由来の成分や化学合成物を使用しない極限までシンプルな処方。ローションとエッセンスに至っては「水」さえも不使用という徹底ぶり。「作るなら中途半端なものじゃなく、オーガニック愛好家が『これはすごい』と思うものを作りたかった」という西川さんの思いが実現されています。
また、洗顔料・ローション・エッセンス・ミネラルファンデまで揃えて13,200円という値段もオーガニックコスメとしては良心的。原料栽培の手間や原材料の質から考えるともっと高価でも良いように思いますが、「毎日続けられないと意味がないでしょう」と西川さんは笑顔です。

グァバの木は一本一本名前をつけて大切に育てられています。

グァバの木は一本一本名前をつけて大切に育てられています。

西川さんのこだわりが詰まった天海のしずくオーガニックシリーズは、2014年9月に販売を開始して以来、全国から注文が集まり、敏感肌に悩んでいた女性から感謝の声がぞくぞくと寄せられています。私自身も、どの化粧品を使っても肌にピリピリと痛みが走っていたのですが、天海のしずくオーガニックはそれがなく、やっと安心して使える化粧品に出会えたと喜びを感じています。そして、それを生み出した女性があまりにも気持ちのいいはちきんさんだったので、今回記事にしたいと思ったのです。

「お金儲けのためではない、女性が使って心から喜べる本物の化粧品のために」、もしかしたらその思いは巨大なコスメ市場の中では笑われてしまうのかもしれません。それでも自分が信じた道だから誰に何を言われようとも「やる」。土佐のはちきんらしい一途さで今日も農園に立つ西川さん。背丈ほど育ったグァバには、小さくとも美しい花が咲いていました。

白く可憐なグァバの花。(農園での写真撮影:井戸宙烈/studio.ZONE V)

白く可憐なグァバの花。(農園での写真撮影:井戸宙烈/studio.ZONE V)

有限会社アフロディア
高知市杉井流16-27フレンドフォーD
0120-4348-08
営業時間/10:00〜18:00(土10:00〜17:00)
休み/水曜・日曜・祝日

天海のしずくオーガニックの詳細はこちらをどうぞ

高知市杉井流16-27


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