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百年続く上勝町を目指して「cafe polestar」

絵で旅する四国-7
お正月の風物詩

2013.12.27 

笑いの絶えないミュージアム「お宝屋敷おおとよ」ーホーロー看板からバス停まで、レトロなアイテム3000点!

赤鬼がお出迎え。大豊の最強ミュージアム。

小さなミュージアムにこそ、魂は宿る。
そんなことをつい思ってしまうのが、大豊町にある「お宝屋敷おおとよ」である。

国道32号線、大杉から約十分ほどの穴内集落。車の窓から山のほうに目を凝らしていると、恐らく二頭の赤鬼がこちらを睨んでいることに気付くだろう。
これが「お宝屋敷おおとよ」。正直、赤鬼だけ見ると、たまにおられる変な人の家かな?と思ってしまいそうだがそうではない。
むしろ・・・すごいところなのである。

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国道側から見える赤鬼

入口は旧道側にあり、パッと見は小さい。建物の玄関側にはニッカウヰスキーや「塩」など昔よく見たホーローの看板がいくつも取り付けられ、今は使われていないバス停が置かれていたりとまさにカオス。やっぱりちょっと怪しいかな・・・とここで立ち止まることなかれ。隣の写真館で仕事をしている館長に声をかけ、ガタガタと扉を開けてもらえば、きっと思わず声を上げてしまうことだろう。

昔ながらの土間と畳の小さな家の中には、昭和30年代から40年代にかけての日本が一番面白かったであろう時代のホーロー看板やポスター、おもちゃ、家電製品やレコードなど、メイドインジャパンの物、物、物がところ狭しと並べられている。もともと手元にあったのは、たった一枚のホーローの看板だけ。その看板を眺めているうちにふと思い立ち、わずか半年の間に看板やおもちゃなどの「お宝」を一気に収集し、開館してしまったのが2006年のことだという。

DSC_1043館長は、中西三男さん。大阪での修行から帰郷し、田舎で写真一本でやりたいという夢を持ちながら行商を10年にもわたり続けたという熱い人だ。
そして、ゆっくりと「お宝」を見るというよりも館長との話のついでに「お宝」を見るようになっているのではないかと思うほどに、かなりの冗談好き、お話好きのおんちゃんでもある。数多の展示品を丁寧に解説してくれていると思ったら、突然「俺は現金で壱億円を金庫に入れちゅうがよ〜」と言いながら《壱億円札》を取り出してにんまりとしたりする。中西さん曰く、話の半分は冗談じゃ、とのこと。

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展示は整然。だけどワクワクさせられる。

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愛情と笑いがあふれる中西さんに会いにいこう。

現在、館内にあるアイテムの総数は3,000点「ぐらい」。開館から5年目の2011年に別館をオープンすることになったほど、もう数えることがムリな点数を収蔵しているのだが、点数を数えてもキリがないし、そんな数には意味がないと中西さんは笑う。それより大事なのは、訪れてくれたお客さんをどんなネタで笑わすか、そっちの方が大事ながよとまた笑ってみせる。

ちなみに、展示品のほとんどは人から譲り受けたものだ。譲り受けたものだから、人には譲らないし、売ることもしない。それがこれまでに譲ってくれた人への恩義だと思う、とも語る。最近では、骨董屋さんがお宝屋敷で展示した方がえいろうと品を持ってきてくれることまであるそうだ。

DSC_1072展示品は、中西さんがひとつひとつを愛でるようにほどよく磨き上げ、丁寧に並べていく。その展示の美しさは、博物館の学芸員が見習っても良いのではないかと思うほどに美しい。どこかで修行したわけでもなく、中西さん自身が楽しく、そしてお客さんに喜んでくれる展示を志すうち、いつのまにか美しい展示に辿り着いた。
展示のコツはなんですかと問うと、「七割ばあに展示するのと、立体的に展示するがが、コツじゃね」と中西さん。3,000ものアイテムがあればどうしても目一杯並べてしまいそうなものだが、そこをグッとこらえて控えめに展示するのがコツ、というわけだ。

DSC_1075ちなみに取材をした2日前には、中西さんが頼んだわけでもないのに奥さんが掃除してくれたという。
「こんなようできちゅう奥さんは、世の中に300人ばあ・・・おるぜよ!ワハハ!」

おふたりの愛情に溢れる展示は、見ていて心も芯から温もるもの。
中西さん曰く、展示を褒められると一番嬉しいのだそうだ。

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左から本館、館長が常駐しているスタジオ、別館。

お宝屋敷おおとよ

高知県大豊町穴内2210
0887-73-0469
開館時間 9:00~16:00
休館日 第2日曜日
入館料 300円 中学生以下無料(開館より4年間は無料でしたが、維持費として2012年秋より入館料を頂くようになりました)
http://d.hatena.ne.jp/nakanishimitsuo/

高知県大豊町穴内2210


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