ここはどこだろう?
初めて訪れた時、広がる景色を前に一瞬ここがどこなのかわからなくなってしまった。どこか異境の世界遺産あたりに紛れ込んでしまったのではと錯覚さえしてしまう景色。
高知の西は土佐清水市、竜串。太平洋に突き出た四国最南端、足摺岬のすぐ近く。
海洋プレートの沈み込みによって隆起した岩が海面に現れ、海岸線に見事な連なりを作っている。何千年も前の地層が大地に顔を出し、奇岩怪岩がいたるところに突出したここ竜串は2000~3000年ほど前に大陸棚が隆起したものと考えられている。東の室戸も同じように何千年も前の地殻変動によって隆起した地層が海岸沿いに姿をあらわしているが、ごつごつと荒々しい室戸のそれと比べ、竜串はどこか雄大でいて、大陸の果てを思わせる岬の物悲しさがある。東と西でこうも景色が違うものかと驚かされる。
足を進めるごとに岩影にざざっと隠れるフナムシの群れをよけながら褐色の岩を歩いていくと、打ち寄せる波の近くまで行くことが出来る。水飛沫をあげるこの波と吹きさらす風が岩を削り、何千年もかけてこの景色を作りあげている。
四国は広く、奥深い。それをまじまじと痛感させられる場所だ。
(高知県土佐清水市)
■竜串(たつくし)
高知県指定文化財。3000~8000年前の砂岩と泥岩からなる浸食台地で怪岩奇岩の景勝地。大竹小竹や蛙の千匹連 千畳敷、弘法大師さえ見残したという見残し海岸などが有名。周辺に足摺海底館、高知県立足摺海洋館、海のギャラリーなどがある。
32.786088,132.865863