大きな谷に広がる棚田集落
怒る田んぼに、八つの畝。この地名をあなたは読むことができるだろうか?
いかにも地すべりなど土砂災害と闘ってきた地名の「怒田」は「ぬた」と読む。
そして、これまたいかにも棚田っぽい地名の「八畝」は「ようね」。
場所は吉野川の支流南小川のまた支流にあたる南大王川の谷にあり、JR豊永駅からは車で10分程度。
国道32号線や鉄道からは一切窺い知れるような位置にはなく、ふつうの高知県民でもこの集落を知る人はそれほど多くはないだろう。
さて、ここの棚田はなんといってもスケール感が大きいことがポイントで、谷の幅は集落の中央付近で600m〜1km、谷底から集落上部までの標高差も100〜200mにも及ぶ。
筆者が嶺北の棚田が凄すぎると気付かされたのは、ここ怒田の棚田景観を見たことがきっかけだ。
怒田の棚田から八畝の棚田を眺めたところ。このあたりで対岸との距離は800m程度。中央下部に南大王川が流れている。
八畝。右奥に見えるのが怒田、中央奥は川井集落。棚田の真ん中に立つ祠が印象的。
怒田の棚田。八畝に比べると休耕田も多くなっている。
怒田の秋の風景。細い谷筋に銀杏が並ぶ。谷向こうの左側は立野集落、右奥は落合など。川の標高は300m前後だが、田畑や家は標高400-500mあたりまで広がる。