徳島市から高知県室戸岬へと続く国道55号線を車で走っていると、色々な景色が見れるので天気の良い日のドライブには最適な道路(故にアメリカのRoute66とかけてRoute55と呼ばれていたりする)なのですが、徳島県阿南市に差し掛かると非常に不思議な建物を見かけることが出来ます。
セルフビルドによる喫茶店「大菩薩峠」
ボクはもともと愛知県出身で、徳島県に移住してからまだ日が浅い。だから詳しく知らないのですが、どうやらここは地元では非常に有名な喫茶店で「大菩薩峠」というらしい…
いや…徳島のみならず、もしかしたら四国中で有名なのかもしれない…だからこの四国大陸読者からしたら、「そんな有名なとこ知ってて当たり前よ!」と鼻で笑われてしまうかもしれないが、ここはボクの興味を優先させていただこうと思います。
この廃墟のような、もしくは言い過ぎかもしれませんがガウディ建築のような建物。なんでもここのオーナーの方がレンガを一人で焼き、積み上げて、セルフビルドでこの建物を建ててしまったというから恐ろしい…これウソのようなホントの話で、友人知人にこの建物について聞くと皆さん口をそろえてそう言いますからね。レンガを焼くとかなにそれすごすぎる。
1971年に喫茶店としてオープンしているらしく、この徳島県南部に昔から住む人々に聞いてみると「物心ついた時からあった」建物のようで、ここの人たちには特別不思議なモノでもない印象を受けました。
移住者としてはホント不思議で仕方がない建物。恐る恐る車を停めてウロウロしてみると、ホントに喫茶店のようで営業中の看板が立っております。でも「ここは喫茶店だ!」というアピールした看板が一切ない。景観が壊れておらず素敵です。
とにかく興味津々。ウロウロしていると全然目立たないところに「大菩薩峠」。素晴らしいデザイン方法ですね。
しかし建物全体を見渡しても入り口がどこなのか…というか営業中と書いてあるけどホントに入っていいものか?一度誰かに連絡して確認を取りたくなる(アトラクションの受付のように)ほど怪しい建物。っていうかかっこ良い。かっこ良すぎて憎い。
壊れたシトロエンと思われる車もかっこ良すぎる。
ここホントに入っていいものか?なんだったら帰るか?とウロウロしながら写真を撮りまくっていると、入り口と書かれた看板発見。どうやらここから入れるようです。
レンガで組まれた階段を登って行きます。これらすべてをオーナーが一人でレンガを焼き、積み上げた背景を知ると言葉が見つからない…
近くで見てみると確かにDIY感が満載。ここがまた素敵なところですね。
ここがどうやら喫茶店への入り口のようです。
ここにも営業中の看板が。なるほど。入り口がよく分からずにボクのようにフラフラして、終いには写真だけ撮って帰る人多数と勝手に予想。
食事はギャップがあるが、そこがまた素敵!
「よっしゃ!建物の中はどんな感じか?ランチもどんな料理なのか?写真撮りまくるぞ!」と意気込んで行ってみたらなんと!「建物内は写真撮影は禁止です」とお店の方に断られてしまいました…これ写真撮れなかったのが非常に残念だったのですが、建物の中は外の建物以上に、嘘のように素敵でカッコ良い空間が広がっておりました。
音楽は穏やかにクラシックが流れておりまして、机や椅子や、レンガで組まれた円形の窓など、すべてに造形への情熱を感じる空間でしたね。
この日はお昼時に伺いましたので、ランチをいただいてきました。建物があまりにも個性的でインパクトがあるから食事も変わっているのではないか?と思われがちですが、実はそのギャップが凄くて非常に普通のお食事を頂くことが出来ます。普通といっても非常に懐かしさを感じる、古き良き喫茶店メニューなのです。
ボクは唐揚げ定食を頂いてきました。量がかなり多くめちゃめちゃお腹一杯にすることができます。ランチはコーヒー付きになっておりますので、食後に素敵でカッコ良い空間を楽しみながらゆっくりと過ごすことが出来ます。
まだ続きがあった!
食事も済ませたし帰るか…と思っていたのですが、来た時に気になっていたこの坂。ここはただの飾り…というかそういうデザインと勝手に思いこんでいて、登っていいものか分からなかったのですが、どうやらこの坂の先は駐車場のようです。
歩いていくと完全に外国です。シトロエンが似合います。
外からは見えませんでしたが、実はこんな建物と広間が後ろに隠れておりました!なにこれホントすごすぎる!
すごすぎて言葉になりません。
坂の続きにはおそらくオーナーがレンガを焼いてきたと思われる工房が。そして廃材なのか材料なのかも分からない歴史の一部が無造作に置かれております。
ひとつひとつにこだわり、そして遊び心を感じるこの喫茶店「大菩薩峠」。建物内を撮影できなかったのは残念でしたが、非常に楽しむことが出来ました。これからちょくちょくここに通わせていただこうと思います。そしてこの建物の歴史なんかをオーナーさんとお話出来たら最高だなと思っております。なんでもまだ未完成なのだそうで。
正直ボクのカメラの腕ではこれ以上ここの魅力を撮ることは出来ませんでしたので、皆さん是非実際にこの「大菩薩峠」を自分の目で見て感じてみることをオススメしますよ。
【住所】徳島県阿南市福井町土井ケ崎
【電話】0884-34-2701
【時間】10:00~20:00
【定休日】金曜日