職人技の共演
愛媛県内子町JR内子駅近くの鍛冶屋、「自在鋼房」。
ここでは、以前紹介した内子の伝統工芸「和ろうそく」を支える燭台を作っています。
もともとは主に農具を作っていたそうなのですが、その技術を生かして、内子の和ろうそくに使える燭台を作るようになったそうです。
最初はろうそくを立てるだけのシンプルなものでしたが、少しずつ形に工夫を加え、今ではさまざまなデザインの燭台が揃っています。
それでは工房での作業の様子を見学させてもらいましょう。
火をおこし、ハンマーで叩く
まず、コークスという燃料で火をおこします。
この燃料は石炭を蒸したもので、普通の炭よりも高温になるため、鉄を加工するのに適しているそうです。
その後、おこした火で鉄を熱し、機械ハンマーで形を整えたら、さまざまな形のハンマーで曲線や細かい変形を進めていきます。
無理な力を加えず変形させることで、鉄の強さを保ちます。
それも職人の技術と勘がなせる技。
鍛冶屋のアートを堪能
工房2階のギャラリーには、さまざまな形の燭台をはじめ、花の形をリアルに表現したオブジェやギタースタンドなど、個性豊かな作品がたくさん並んでいて、その造形は、無機質で硬い鉄からは想像できないほどのしなやかさがあり、本当に鉄なのか疑うほど。
児玉さんの作品は、和にも洋にも溶け込む万能デザイン。
使うシーンを想像しながら、ひとつひとつ形の違う作品の中からお気に入りの一点を見つける過程も楽しいです。
また、喫茶コーナーもあり、休憩しながらゆっくりと作品を選んだり、お店の人と話をすることもできます。
実際に私も燭台に和ろうそくを立て、火を灯してみました。
購入したのは線香も立てられるタイプで、和ろうそくの灯りと、線香の香りを同時に堪能でき、癒し効果倍増。
お話を伺った四代目の児玉惇平さんは、燭台だけでなく、新しい発想でいろいろな作品を作り、鍛冶技術の可能性を広げていきたいとのことで、住宅のエクステリアなども手掛けています。
機械化や大量生産で全国的にも鍛冶屋の数が減少している中、技術を受け継ぎながら、職人の感性と時代のニーズに合わせて進化する鉄の芸術。
これから生まれる作品が楽しみです!
「自在鋼房」と、和ろうそくを作っている「大森和蝋燭屋」は徒歩圏内。
内子の町を散策しながら2店を巡り、燭台と和ろうそくを手に入れてみては?
自在鋼房
〒791-3301 愛媛県喜多郡内子町内子3572
営業時間 9:00~17:00 不定休
TEL 090-5911-4038
http://www.jizaikobo.com/