七代続く和ろうそくの店
愛媛県内子町は、江戸後期から明治にかけて「木蝋」の生産で栄え、八日市・護国地区には今もその時代の町並みが残されています。
その町並みの入り口にある「大森和蝋燭屋」では、200年以上七代に渡りひとつひとつ手作業で木蝋を使った和ろうそくが作られています。

和蝋燭が描かれたのれんと提灯が目を引きます。
お店の中に入ると、奥で六代目と七代目の職人さんが親子で作業する姿が見え、
その手前で和ろうそくの作り方、使い方などを丁寧に説明してくれます。
一本一本、丁寧な仕事。
芯の部分は、まず竹串に和紙を巻いた後、燈心草(い草)を巻き付け、真綿で留めて作ります。
その後、この芯を回しながら、ハゼの実から取った木蝋を素手で何重にも塗り重ねていきます。
そのため、和ろうそくの切り口はバウムクーヘンのような層になっています。

竹串に和紙を巻きます。

芯が完成した状態。

木蝋の原料となるハゼ。

蝋を芯に塗っているところ。この日は七代目の息子さんが作業されていました。

バウムクーヘンのような断面。丁寧な職人技がうかがえます。
このように職人さんの手で丁寧に作られた和ろうそくは風に強く、
風がなければ蝋がたれることもありません。
また、大きく明るい和ろうそく特有の炎のゆらぎは、見ていると心が落ち着き、
使う目的が「何かのため」ではなくても、火を灯すだけで日常から離れた特別な時間と空間を与えてくれるようです。

静かにゆらいだり、上下に大きくゆらいだり。一度見始めると目が離せなくなります。
そしてデザインは、色も絵も付けず、本来の素材を生かしたシンプルさ。
それも、技術に自信があるからこそできることだと思います。

緑がかったやさしく自然な色。
店頭には、神社寺院や舞台演出で使われるような大きなものから、
お部屋のインテリアとして手軽に使えるものまで様々なサイズの和ろうそくが揃っています。

ろうそくのサイズは全部で7種類。

店頭に並ぶ和ろうそく。箱入りと袋入りがあります。
アロマキャンドルに火を灯す感覚で、和ろうそくに火をつけてみるという新しい習慣、みなさんも試してみてはどうでしょうか。
内子町には、この和ろうそくを支える燭台を作っている職人さんもいます。その職人さんについても、また次回紹介したいと思います。
大森和蝋燭屋
〒791-3301 愛媛県喜多郡内子町内子2214
TEL・FAX 0893-43-0385
http://o-warousoku.com/