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2015.4.13 

四国最強の横綱秘湯、祖谷温泉

そのシアワセ度、極めて高し

突然だが、いまを遡ること10年以上前、まだネットも黎明期の頃に「四国の温泉ーそのシアワセ度」というサイトを運営していた。四国中の温泉に浸かりまくり、湯質、風情、時間、値段、環境の5つの項目で勝手に評価をし、総合的な「シアワセ度」を判定するもので、当時、四国最強温泉ビッグ3として私が選んでいたのが、高知の郷麓温泉(コロカルへ記事を提供しています)、徳島の祖谷温泉、愛媛の小藪温泉だ。
いまではこの評価に、高知の桑田山温泉や香川の仏生山温泉、愛媛の湯ノ谷温泉あたりを追加したいところだが、今回紹介したいのは祖谷温泉だ。

この祖谷温泉、なんせ山奥深い。
国道32号線を大歩危駅から入ること30分足らず、西祖谷の集落を越えて深い深いV字谷を成す祖谷渓を走ってゆくと、人気の全く無い渓谷の急斜面にへばりつくように建つ建物が見えてくる。
四国ではどんな深山であっても必ず山の懐や頂のあたりに集落の姿を見るものだが、この祖谷渓に限ってはその「四国あるある」は通用しない。西祖谷から祖谷渓を下流に向かって走ること約12kmのあいだ、少なくとも地図で見る限りは人の気配というものがない。祖谷温泉はちょうどその中間地点にあるのだが、「人の気配」がどこまでもあるという意味では「真の秘境」が少ない印象のある四国では、この感じは珍しい。

さて、そんなわけで都会の道になれた人にはおそらく厳しい道のりを強いる祖谷温泉だが(事実この道で往生する都会ナンバーはよくみかける。四国の人間は基本この程度の山道には慣れているのでビュンビュン走っていくのだが)、その分まさに「秘湯」としての期待にきっちり応えてくれる。

ケーブルカーで170mの谷底へ

この写真は祖谷温泉の建物から撮影したものだが、すさまじい急角度で谷が刻まれている。
その落差は170m。山のてっぺんからすると400〜500mはあるのだろうか。

そして、露天風呂はこの川のレベルにある。

祖谷温泉

この落差を、ケーブルカーで約5分かけて下ってゆく。
訪ねた時は貸切状態。昼過ぎともなるとこうもいかないが、午前中にはこんな空いた時間もあるようだ。

祖谷温泉

下り行きの「駅」には係員さんが常駐しており、乗車後は自分で運転ボタンを押して発車。
ガタゴトガタゴトと大きな音を谷間に響かせながら42度という急角度で谷を下ってゆく。
一般にケーブルカーといえば上りと下りが中間地点で交換するものだが、ここはそこまでの輸送量がないので当然ただひたすら下るのみだ。

祖谷温泉

下りきると小さなダンジョン状態のこじんまりとした駅に到着し、螺旋階段を下りるとこんな谷底の風景へと出る。

祖谷温泉

訪れたのは秋のことだったのでずいぶんと水量も減っているが、夏にかけてはもうちょっと水量があることだろう。
大雨や台風の後など迫力がありそうだ。

30分以上、ゆっくりとお湯を楽しむが「吉」。

祖谷温泉の露天は、四国で一番の露天風呂と語ってほぼ問題はないであろう。
その風情はほぼ「野湯」に近く、同伴客がいなければ何の気配を感じることもなくひたすらボーッと過ごすことができる。

ほどよい硫化水素臭も温泉好きにはたまらない。四国では本山町の奥白髪温泉や香美市の笹温泉神宮寺温泉などの超がつく秘湯がなくなってしまい、この匂いを存分にかげる温泉が少なくなったが、やはり温泉へ来たぞ!ということを感じる匂いといえば・・・これしかないのである。

祖谷温泉

毎分1,500リットルという四国屈指の湯量を誇り、お湯はもちろん源泉掛け流しだ。
40度を下回るぬるめのお湯で、30分以上入ることを宿の方からは薦められるのでその通り入ってみると、身体の奥底からじんわりと温まる様子がわかる。
また、高松の仏生山などと同様に炭酸泉であり、浸かっていると無数の小さな泡が身体にまとわりついてくるのもまた面白い(仏生山もぬるめのお湯であり、一時間は平気で入っていられる温泉だ)。

というわけで、ただただおすすめ。

ホテル祖谷温泉

徳島県三好市池田町松尾松本367-2
0883-75-2311
http://www.iyaonsen.co.jp/

三好市池田町松尾松本367-2


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