四国は、なんというか、たいした観光地がない。
だが、なんというか、某かの魅力はある。
ぴかぴかと光っていなくても、ぼんやりと光っている。
この「四国裏観光ガイド」とは、
四国のマニアックな魅力をガイドするコーナーである。
愛媛県東温、滑川渓谷。
小雪がちらつく12月のある日、機会があって初めて滑川渓谷を訪れた。
小雪がちらつく中、対向車を交わすのも精一杯な県道302号線をひた走る。
道の脇の山肌にはつららがびっしりと連なる。昨晩は相当冷え込んだようだ。さしずめ氷の剣。
日陰など、時折路面が完全凍結している箇所を越えてそろそろと進む、道前道後第二発電所が見えてきた。
そのまま進むと突然の集落、そして駐車場があった。車を止め、雪から小雨に変わった山道を徒歩で進む。
約1kmにも広がるナメラと呼ばれる一枚岩、その上をウォータースライダーのように流れる清流。
必見の竜の腹は片道30分ほどのトレイルロードを歩くことになる。風景を見てると全く退屈しない。ちょうどいい距離だ。
本当にドラゴンが住んでいるんじゃないかなと思えるような渓谷の細道を進みきった最短部、竜の腹と呼ばれる大岩、そして奥の滝と呼ばれる巨大な滝。
左右には雨で溶けても尚その鋭さを残す氷の剣が連なる。辺りには霧が立ち込め、本当にここは四国なのだろうかと思わせる幻想的な風景。天候にもよるが、ベストなタイミングでそれぞれが訪れて欲しい。
滑川渓谷