地域の音頭を美しい映像に
2005年の平成の大合併で旧大洲市、長浜町・肱川町・河辺村とが合併して生まれた、愛媛県大洲市。
この町で、旧町村で大切にされてきた四つの音頭「大洲音頭」「長浜音頭」「肱川音頭」「河辺音頭」を
1,040人もの市民が踊る様子をmovieで残す取り組みが行われている。
その名も「大洲音頭movie」。
発案したのは、この町でナチュラル素材の手作り服のお店「Sa-Rah」を営む帽子千秋さん。
市のワークショップ「まちづくりカフェ」で提案したアイデアが
満場一致で採用されたものだ(製作費は大洲市からの助成金による)。
ステージとなるのは、肱川橋を望む景色や大洲城、臥龍山荘、つつじの冨士山、肱川あらし、
雲海、ポコペン横丁、長浜・肱川・河辺地域の名所など、大洲市内の名所の数々。
このステージを背景に、市長はじめ老人会や保育所の子どもたち、
よさこい団体、リフティング世界大会優勝の徳田さんや一般公募の市民が小節ごとに踊る。
映像を撮影したのは、徳島県神山町在住のドキュメンタリームービー作家長岡マイルさん。
「2014年の今、地域に残っている風景や人などを撮り残していくこと」に対して企画段階で賛同をもらい、
ふたつ返事で受けてくれたのだそうだ。
発案した帽子さん自身、多くの撮影に同行。
あらためて大洲の美しい風景に気づかされたのはもちろん、
それぞれの地域に誇らしく住む人々と出会う日々だったという。
特に印象深かったのは、ある集落の集会所に集まってくれたおばあちゃんだ。
「孫が私の野菜を美味しいって食べてくれるけん、野菜作りが楽しい」と語るおばあちゃんたちが、
「肱川音頭、スタート!!」とニコニコ笑顔で掛け声を発してくれたのが忘れられないという。
帽子さんは、
「このおばあちゃんの笑顔を、はやく遠く離れたお孫さんに見せてあげたいです」と語る。
数年後にはダムに沈んでしまうという集落に響く明るい笑顔。
次の撮影場所に移動しながら、マイルさんは
「さっきの撮影では、とてつもなく大切なものを撮ってしまった。
自分は、それを編集して形にしてこそ、この気持ちが浄化されていくように思います」
とポツリと話されたそうだ。
1月11日、本編公開!
「大洲を離れて暮らす人々にとっても、懐かしい故郷大洲を身近に感じてもらえたり、
たとえば、ここが私の故郷で、この踊りは私が小さい頃踊っていました・・なんて
思い出の花を咲かせてくれたら」
このプロジェクトの狙いは、大洲・長浜・肱川・河辺の四つの「音頭」の公式movieを制作し、
その伝承に活用していくことを目的としている。
movieはYouTubeやVimeoでも広く公開するほか、大洲市や観光協会等のホームページにも掲載し、
大洲の魅力を強くプレゼンする媒体となることも期待されているという。
今後も5年から10年おきに新しいバージョンにしながら、
10年後、20年後にも、懐かしくひと昔の人たちを見るのも楽しみとなるようにしたい、とのことだ。
また、踊り子さんのスケジュールやアポ取りなどのサポートを務めてくれた
大洲市役所職員の樽井優さんへの感謝も帽子さんは語る。
発案したのこそ帽子さんだが、その実現には樽井さんのサポートや街づくりカフェメンバーの協力、
長岡さんの奮闘などがあってのこと。
「決して私一人の力ではできなかったことなんです」
1月11日には、四つのそれぞれの本編が大洲市で上映される。
もちろん誰でも見ることができるので、大洲の名所と大洲人の笑顔巡りをどうぞ。
大洲音頭movie上映会
2015年1月11日(日) ①14:00~ ②19:00~
[会場]大洲市総合福祉センター 入場無料
[問合せ]HONKIプロジェクト(帽子)090-8283-8765
大洲市役所都市整備課 専門員樽井(直通0893-24-1719)
11日よりホームページでの配信も開始される。
http://honki-ozu.com/
大洲HONKI PROJECTとは
「4つの地域が合併して、一つの「大洲市」になった、市町村合併10周年を記念して、一年間をかけて愛媛県大洲市に昔から残る「肱川音頭」「大洲音頭」「長浜音頭」「河辺音頭」の四つの音頭を美しい映像で撮りました。
市長さんから幼稚園児、おじいちゃんもおばあちゃんも、総勢1,040人の大洲市民が、大洲が誇る素晴らしい名所で音頭を踊っています。
どなたでもご覧いただけます。ご一緒に大洲の名所と大洲人の笑顔巡りをいたしましょう。
きっと、音楽を聴くだけで身体が勝手に踊ってしまう方々がいらっしゃることでしょう。
きっと、想い出の場所や人と出会えることでしょう。
きっと、今回初めて大洲を知った方々も、思いを馳せてくださるでしょう。
大洲を想う全ての方に捧げます。」