2014年1月にプレ開催された『現代地方譚』。
アーティスト・イン・レジデンスという、作家滞在型のアート事業として須崎市で初めて開催され、
会場となった「まちかどギャラリー」には1500人を超える来場者が訪れました。
クオリティがクチコミで人気を呼び、好評の事業となり、惜しまれつつ幕を閉じました。
その後、半年経って「まちかどギャラリー」は改修が始まり、以前の雰囲気を残しつつ、新たな顔を見せています。そして、9月からは7名の作家が「まちかどギャラリー」を中心とした町を舞台に制作がスタートしました。
商店街が美術館に変わる1ヶ月
製作期間が始まってから、様々な人たちが「まちかどギャラリーに」顔を出し、足しげく通い、その過程を見守っていました。
その間、約2週間。人の気配が消えないアトリエで、作家たちはそれぞれの思いや表現を模索しながら、作品に命を吹き込んでいきました。
10月からは展示期間が始まっています。
今回、新たな試みとして「まちかどギャラリー」のスタッフは町内の空き家、空き店舗を会場として使用することに取り組みました。
今は面影も人影もない、静かで光を失った空間に異なる新たな息吹をもたらしています。
今日ご紹介するのは会場のひとつである、約3年前まで営業していた銭湯「錦湯」です。
創業年は定かではありませんが、昭和5年頃ではないかと言われています。
須崎港から県外の船が出入りしていた時代、この頃が一番賑わっていました。
その頃、須崎市には銭湯が11軒あり、共倒れにならないよう隔日営業をしていたほどでした。
しかし各家庭にお風呂が設置され始めた頃から、町中の銭湯は姿を消していきました。
どんどん利用客は減少し、廃業前は近所のお年寄りが数名利用するのみ。
時代の流れを受け、廃業を余儀なくされたのは「錦湯」も同様でした。
見る/触れる、対極が融合する瞬間
こちらでは、写真家のデイビット・クラントさん、彫刻家の竹田篤生さんの作品を展示しています。
デイビットさんは、高知に移住されたアメリカの方です。
作品は独自の視点で、町の風景を撮影したものが中心です。デジタルでは表現できないアナログ感が持ち味で、今回の展示では、和紙に現像するプラチナプリントという手法を使用しています。
実際に見ていただくと分かるのですが、写真なのに絵と見間違えてしまうほどです。
➡プラチナプリントについての詳細は四国大陸の連載四国、紙々のはなしをご覧ください!
竹田さんは愛媛県生まれ。
今回は触れる彫刻を展示しています。現在、盲学校の教師をしている竹田さんは、日頃目の見えない生徒に何かを伝えるためにどう表現すれば良いのか、ということを考えています。
一度、自分の顔を彫刻にして生徒に触ってもらうと「先生ってこんな顔だったんだ」と反応があったこともあり、目の見えない方にも作品を味わってほしいと思ったことがきっかけだったそうです。
懐かしくも新しくもあり、風情を感じる不思議な空間は、目で楽しむ展示、触って楽しむ展示が男湯・女湯に分かれ、それぞれの持ち味、異なる魅力と味わいをより深めています。
会場は、番台も古い電話も壊れたロッカーも、少し劣化した洗面器も体重計も、廃業時のままの姿をとどめています。
まるで時が止まっているようかのように佇んでいる、不思議な空間です。
展示期間
11月3日(月)まで。
時間は9:00~17:00。
問合せは、すさきまちかどギャラリー(050-8803-8668)へ。
■Facebookページ⇒https://www.facebook.com/airsusaki
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