今日も漁にゆく。夫婦で営む瀬戸内のたこ漁師「四代目宗克丸」。
昔から女性の好きな食べ物は「芋、蛸、南京」と言う。それほどにタコには目がない、という女性も少なくないのではないか。私は、昨年初めて食べた庄司さんご夫婦の「生たこ刺し」が忘れられない。
今年もたこ漁が10月1日に解禁となった。
瀬戸内の小さな島、小手島(おてしま)で代々たこ漁をする漁師の四代目を受け継ぎ、瀬戸内の恵みに支えられ、生業としてたこ漁を営んでいらっしゃる、庄司さんご夫婦。これからますます大忙しの日々が始まる。
真たこ漁は、「たこなわ漁」といって、縄に壺をつけて漁をする。縄に壺150個前後をつけ、漁場に投げ込み、総数約1500個ほどを仕掛ける。数日後、縄を引き揚げ、壺に入っているたこを獲る漁なのだが、これが全く簡単ではない。
たくさん仕掛けても壺にはたこが数匹しかいない。実は、とても非効率な漁法なのである。それでも網で根こそぎ獲る漁とは違って、生態系に配慮しながら良質できちんと育ったたこだけを獲るためにはこの漁が最適なのだ。そして、たこはそれほどとてもとても貴重な海の資源なのだ。たこっていっぱいいると思っていた…。無知とは何と恐ろしいことか。
真たこはタイラギ貝・ミル貝・ワタリガニ・舌平目など、私たちが食べてもおいしい魚介類をたこ壺に持ち帰ってゆっくり味わい平らげる。その上、壺は清潔でなければ住みつかない。彼らはとてもグルメできれい好きなのだ。そのため、禁漁の間はたこ壷の清掃や、縄の手入れなど次の漁期に備えて、漁をしていなくても大忙しなのだ。
たこは洗いが肝心
庄司さんご夫婦は、漁をし、漁から戻ると自ら調理、加工を行う。たこのことはたこ漁師が一番知っている。
しめずに生きたまま加工することで新鮮すぎるほど新鮮なまま、たこ本来の味が引き出せる。そして、たこは洗いが肝心。塩をたっぷり使い、たこのからだのぬめりを丁寧に丁寧にしっかりと洗い、吸盤も小さなブラシを使ってひとつひとつ汚れやぬめりをとる徹底さはたこ漁師のこだわり。二人の几帳面さと漁師としての姿勢がこの吸盤洗い全てに表れている、と、とても感銘を受けた。

ご注意!このタコを食べたらもう他のタコは食べられません。
彼らが調理したたこ料理で最も衝撃的なのは、何と言っても極上の「生たこ刺し」。
たこ本来の味わいを知っていただきたいという思いから、実店舗「たこのやーちゃん」ではその場でさばいて、そのまま持ち帰ってもらうテイクアウト方式で「生たこ刺し」を販売している。家庭にたこ本来の味をお届けしたいと観音寺周辺のご近所の方々に地道に提供している。待ちきれずその場でぺろりと食べてしまうお客さんも少なくない。一度美味しいものを味わうと不幸だ。なぜなら、もうそれを知らなかった頃には戻れないからだ。それだけ最高に至福の時を味わえるのである。吸盤が特に最高だ。
たこも季節によって味わいが違うもの。夏はコリコリとした歯ごたえが特徴で、これからの寒い季節は弾力のあるやわらかな肉質が楽しみだ。(夏の漁は5月1日〜8月31日、冬の漁は、10月1日〜1月25日。)
「生たこ刺し」はお店だけで買える限定品。お取り寄せの場合は「冷凍たこ刺し」を販売している。冷凍と言ってもさばいてすぐに冷凍にして発送するので、生と同じ味わいと食感が楽しめる。
たこ刺しは予約販売。
ご予約/090-4976-8973
実店舗/「たこのやーちゃん」 768-0031 香川県観音寺市池之尻町118-1
営業時間/16:30−18:30
営業日/たこ漁日によって変わりますので、Facebookファンページ「たこのやーちゃん」でお知らせしています。