グイッと押したらニュッと出て、グルッと切ってパクッ。
食べるまでのプロセスを堪能できるという意味では、四万十市の銘菓・筏羊羹以上の羊羹かも知れない。
筒の底を押していくとなんとも奥ゆかしいあんばいで羊羹が飛び出てくる。
恥ずかしそうに、ちょっと面倒くさそうに。
飛び出た羊羹は筒に付いた糸で切って食べる。
うまく切れるだろうかとちょっとだけ慎重になりながら、糸をくるっと回すのがまた楽しい。
道具は要らず荷物にもならない。
なのに食べるまで飽きさせない。
上品なのにかわいく、かわいいのに奥ゆかしく、奥ゆかしいのにおもしろい。
「地味に訴える」という点において、やたらとデザインに凝った物産品とは一線を画す逸品なのだ。
竹林寺