葉っぱビジネスの「いろどり」で知られる徳島県上勝町では、今UターンIターン者による新しい取り組みが次々と始まっている。人口1800人の過疎高齢化が進む小さな町で、2013年12月にまさに”上勝町らしい”お店がオープンしたので訪ねてみた。
勝浦川沿いに上流へ向かい、月ケ谷温泉の手前に突如と現れる。photo by 植田彰宏
cafe polestarは、「上勝町を100年後まで残したい」という想いのもと立ち上がったカフェだ。訪れた日には町外から訪れたおしゃれなカップルや30代くらいの子供連れや60代の上品な夫婦、町内の郵便屋さんや工事現場のおにいさん、近所のおじいちゃんと、多種多様な顔ぶれがリラックスして席に座っていた。
ショップマネージャーの東輝実さんは「上勝町で沢山の人がくつろぎ団らんする空間にしたい。行きたい場所を作っていくことで、将来的に若者の移住に繋がっていけば。」と意気込む。
設立メンバー。左から、坂野晶さん、東輝実さん、松本卓也さん。
設立メンバーの松本さんと坂野さんは関西からのIターン移住者。東さんは上勝町出身で、ゼロ・ウェイストというごみを出さない活動を推進していた母親の故・東ひとみさんの考えをカフェのコンセプトに取り入れている。例えば、食材は皮などをむかないでできるだけそのままで使用、生ゴミは堆肥化、おてふきは出さずなるべくハンカチを持参してもらうなどだ。また、ゼロ・ウェイストの観点から、カフェで仕入れた調味料や食材を量り売りできるような仕組みも実施するそうだ。
「本日の定食」800円。上勝の棚田米、主菜、副菜、汁物。
この日の主菜はじっくり煮込まれた豚の角煮で、上勝町産の野菜を使った副菜がどれも優しい味だった。
「旬の野菜煮込みカレー」650円。
クレソンがいろどりに、スパイスたっぷりのゆこうチャービル付き。
「本日のデザート」550円。
この日は、ゆこうを使った濃厚なチーズケーキと柿のジェラート。ジェラートは柿の甘みが大変濃厚で完熟の果物を使える産地ならではの美食だと思う。
「ゆこうはちみつソーダ」500円。「ホットゆこう」500円もある。
今回のメニューで大活躍しているゆこうとは、ポンカンとゆずが自然交配してできた柑橘のことだ。すだちより酸味がまろやかで、香りはゆずのように強いがさっぱりしている。上勝町が全国生産量のシェアのほとんどを占める、地域の特産品だ。ドリンクはこの他にも、徳島市のいかりや珈琲店に特別ブレンドをお願いしている珈琲や、「上勝晩茶」と呼ばれる独特の香りのある発酵茶などがある。
各メニューにはさりげなくつまものも添えられていて、聞くと「いろどり」に関わっている方が栽培した大王松というものだった。
今後の上勝町について話し合う場作りを。photo by 植田彰宏
cafe polestarでは今後様々なことを企画しているそうだ。そのひとつが、「上勝百年会議」で、上勝町を100年後まで残すために今何をしないといけないのかを考えるために、ゲストを招いて話をしたり、参加者でディスカッションするというもの。上勝町のファンや町民が集まり、今後のことを話し合あえる場作りを目的としている。
林業で栄えていた上勝町。間伐材を有効活用する薪ストーブが空間のアクセントになっている。
「ポールスターとは北極星のこと。上勝百年会議などを通して、ヒトやモノ・情報が集まって、夜空に輝く北極星として、上勝町の発信拠点となっていきたい。」と東さんは話していた。様々な人が集まる所には、新しいアイデアが生まれることは間違いない。今後の動きが楽しみなカフェだ。
cafe polestar
徳島県勝浦郡上勝町大字福原字平間32-1
TEL:0885-46-0338
営業時間:10:00〜19:00
定休日:木曜日
WEB:http://otonoblog.exblog.jp/
Facebook:https://www.facebook.com/CAFEPOLESTAR