飴の異端児?たんきり飴。
堂々と名前に飴という名がついているにも関わらず、その名に恥じず、「さぁ噛んでください」と言わんばかりの口に入りきらないサイズ設計。一口目のその後は噛めばいいのか、舐めれば良いのか…と悩みつつ噛む一口目はパリパリッと歯切れ良く、表面にまぶされたきな粉や、飴に練り込まれたしょうが、ごまの味を確かめているうちにその食感がクセになり、最後までずっと噛んでしまっている。食べ方は人それぞれだろうが、非常に飴の要素の弱いお菓子である。
ロングセラーのその理由は…
徳栄堂の「たんきり飴」は、高松は仏生山の銘菓で、添加物を一切使わず完全手作りで仕上げるというこだわりの製法とその素朴な味が魅力で、徳栄堂の他、仏生山温泉や高松駅でも買う事ができる。
たんきり飴という名前の由来は、その昔、仏生山・法然寺の八代住職が風邪をひいて痰が切れないという話を聞いた地元の飴屋が水飴のなかに大豆、ごま、しょうがを入れて作った飴を住職に差し上げたところ、痰が切れるようになったことからといわれていて、仏生山でも今や作るのは徳栄堂1軒のみ。昔はあめ玉タイプのものも作っていたらしいが、現在はこの平べったいタイプのみが売られている。たんきり飴と名のつくしょうが入りのあめ玉は全国探してみれば他にもあるにはあるが、薄くて平べったく、しかも外側にきな粉がまぶしてあるタイプは珍しい。このひとひねりが、ロングセラーの理由だろう。民芸風のパッケージもどこか懐かしくて可愛い。
飴でありながら飴らしくない、素朴で不思議なお菓子。
噛んでよろし、舐めてもよろし。是非一度ご賞味あれ。
徳栄堂
香川県高松市多肥上町2339-7