明日から約1ヶ月、市内各地で
海辺のまち、室戸に秋の気配が漂い始める頃。
夜な夜な町のそこかしこで、太鼓や唄、踊りの稽古風景が目に留まるようになります。
何となく浮足立ったような、そわそわした雰囲気が町を包み始めると、いよいよ神祭の季節到来です。
「神祭」と書いて「じんさい」と読みます。
高知では馴染みのある言葉ですが、よそではあまり使われないようです。
正式な祭りの名称には「秋祭」と付き、時期的にも「秋祭り」と表現した方がピンとくる方が多いと思いますが、ここはあえて高知流に「神祭」と記しておきます。
今年は10月11日(土)を皮切りに、11月8日(日)までの主に週末、羽根・吉良川・浮津・室津・高岡・椎名・佐喜浜など室戸市内の各所で、地域色豊かな神祭が次々と執り行われていきます。佐喜浜八幡宮秋祭や羽根の義長神社大祭など、国や県の文化財指定を受けている祭りもあります。
以下、全部で12にも及ぶ神祭のなかからいくつかご紹介します。
まず、高知市方面から来ると室戸市に入ってすぐの羽根町で行われる「羽根八幡宮秋祭」では、山仕事の安全と五穀豊穣を祈願して、花台とお舟が練り歩きます。隔年で奉納される中川内の獅子舞は、熟練された格調高い獅子舞として知られています。
また、「義長神社大祭」では、大祭前日の早朝、頭人と呼ばれる祭りの当番が里芋で作った、四角い餅263個が奉納されます。

御田八幡宮秋祭(写真提供/室戸市観光協会)
重要伝統的建造物群保存地区としても知られる吉良川町の「御田八幡宮秋祭」では、花台と船の形をした山車が、古い町並みを練り歩きます。花台に花が付くのは隔年で、花のつかない年は提灯のみとなります。夜になり、提灯を灯した花台が境内で乱舞する頃には、祭りの盛り上がりも最高潮に達します。
通称“みなとのうえ”と呼ばれる地区に位置する室津の「室津八幡宮秋祭」では神輿や花台の御神幸に加え、平成24年に約40年振りに復活した太刀踊りや、浴衣の着流しに頬被り姿の氏子が唄う『馬子唄』などが奉納されます。
また、室戸市の中心部である浮津地区の「浮津八幡宮秋祭」では、かつて捕鯨の町として栄えた室戸を偲ぶ『鯨舟唄』が郷愁を誘います。
他にも、農村歌舞伎の名残りを残す三番叟が奉納される三津の「杉尾神社秋祭」、拍子木で床を叩いてリズムをとり、歌舞伎の見得を彷彿させる所作が特色の「椎名の太刀踊り」や神輿が荒海に入る勇壮な『神輿洗い』など、見どころ満載の「椎名八王子宮秋祭」、社会風刺を織り込んだ江戸時代から伝わる即興『にわか』が披露されることで有名な「佐喜浜八幡宮秋祭」など、いずれも見どころ満載の神祭が続きます。

杉尾神社(写真提供:室戸市観光協会)

室戸 王子宮秋祭(写真提供:室戸市観光協会)
以前ご紹介した室戸世界ジオパークセンターでは、室戸の神祭をパネルと動画で紹介しているスペースがあり、インフォメーションカウンターでは今年の神祭の情報などを入手することができます。
いずれも観光客向けのお祭りではなく、「神祭」の名が示す通り地域の人々が守り継いで来た歴史と伝統に基づく神事ですので、駐車や観覧の不便は承知の上でディープな室戸の世界を垣間見てみてはいかかでしょうか?
また、今年から神祭のスケジュールなどをまとめた大きなポスターも100円で販売!
問い合わせは室戸市観光協会(0887-22-0574)へ。