映画が好きだ。DVDよりできれば映画館で観たいし、県外に行けば映画を観て帰りたいと思う程度に、好きだ。
現在、高知市内にある映画館は「あたご劇場」と「TOHOシネマズ高知」の2館のみ。私は半々くらいの割合で両方の館に映画を観に行き、自主上映団体がやっている上映会に時々出掛けたりしている。あとは、見逃した映画や高知で上映されなかった映画のDVDを借りて観るという感じ。自宅での鑑賞がビデオテープからDVDやブルーレイへと移り変わったように、映画館もフィルム上映からデジタル上映へと移行している。あたご劇場も現在はほぼデジタル上映で、時々フィルム上映をすることもあるようだ。
私があたご劇場で初めて観た映画は「アメリ」。女優のオドレイ・トトゥが大変可愛く、音楽も物語も映像も素敵で何度も観に出掛けたことを覚えている。当時は現館長・水田朝雄さんのお母様の姿を、チケット売場や売店でよく見かけたものだ。自分の祖母の姿とも重なり、おばあちゃんのいる映画館として親しみを感じていた。映画館の古さ、手作りの映画の看板、長時間座るとしんどくなる椅子など、当時の面影のまま現在に至る地元の映画館である。
メジャーな映画も好きだけど、私の心のツボを強く刺激してくれる映画はあたご劇場と自主上映団体が上映してくれることが多い。そして私の中では、“時差はあれども、まさか高知で観れるとは思わなかった作品を上映してくれる確率”はあたご劇場が一番高い。お陰で高知市に暮らしながらも、適度に満たされた映画環境の中で楽しませていただいてると思う。有難いことである。
学生だった私が映画館をはしごしながら映画を観ていた頃、高知市内には映画館が5館あったと記憶している。それからの20年を生き残ったのは、あたご劇場のみ。
「未来の展望はなし。どうなるか分からん。そんな感じでこれまでやってきたし、これからもそんな感覚。」なんとも高知県民らしい館長の言葉。これからどうなっていくのか、あたご劇場。映画を観て楽しみつつ、地味に応援し続けたい場所である。
あたご劇場
〒780-0051 高知市愛宕町1-1-20
TEL 088-823-8792
http://neconote.jp/atago/