須崎の今を、作家が紡ぐ。
昨日、1月11日より意欲的なアートイベントが須崎市ではじまった。
その名も、「現代地方譚」。
高知、広島、東京などに在住する六人の作家が二週間にわたり須崎に滞在し、作品を作り上げるアーティストインレジデンスである。
須崎市は、かつて高知でも指折りの産業都市だった。
漁港として、佐川や仁淀川の石灰岩やセメントの搬出港として、深い入江を持つ軍港として、高知県西部の交通の要衝として、比較的最近まで賑やかな地方都市のひとつであったように思える。
なにしろ、高知県内で鉄道がはじめて引かれたのもこの街からだ。
しかし、多くの地方都市がそうであるように、須崎市もここ数年で一気に元気がなくなった。
ついぞ最近まで豊かだった分危機感に乏しくて、周辺環境がぞろっと変わっていてもそれに気付くことができず、気がつけば取り返しの付かないことになっていた、という意味では地方都市にありがちな話といえばありがちなことだ。
そういう小さな都市で、芸術が何かできないものか?というのがこの取り組みの根幹にある。
六人の作家は、実際にこの須崎を歩き、現在をみつめ、それを作品という形で昇華する。
果たしてどのような作品が生まれるのか?
公開制作は24日まで、かつて証券会社として使われていたという「すさきSAT まちかどギャラリー」で行われ、引き続き25日から2月11日まで、制作された作品がギャラリー内で展示される。
六人の作家たち
川鍋達(高知)
シンプルな線や色彩が特徴的な、空間そのものを包み込みコントロールしてしまう川鍋作品には、強さと柔らかさが同時に存在している。
小西紀行(広島)
独特の筆致で、一貫して人間を描き続ける。まっすぐ対象に向き合うことによって生み出された小西作品は、私たちに描くことの素晴らしさを教えてくれる。
竹川宣彰(埼玉)
現実の社会や人との関わり、そして対話の中で生まれる物語や問題を、時にユーモアも交えながら様々な方法や素材で表現。鑑賞者と共に考えてゆける 作品を提示する。
COBRA(東京)
作家自らが、物語を語る者”COBRA”として登場する映像作品を制作。今回のレジデンスでは、映像のためのセットを製作するその過程も公開する。
竹花綾(高知)
古いドアやふすま、すだれなど、かつて生活空間を分断していた廃材を素材にそれらを再構成する。今回は須崎の廃材を使い巨大な壁を作る予定。
横田章(高知)
キャンバスのみならず、タイルやトタン、廃材の板など様々なものに風景を描き出す。絵の具と下地の物質感が絡み合った強い画面が特徴的なペインター。
アーティストインレジデンス須崎[現代地方譚]
公開製作期間:2014年1月11日(土)~1月24日(金)
展示会期:2014年1月25日(土)~2月11日(火) 会期延長で2月25日(火)までに変更となりました
観覧無料
すさきSAT まちかどギャラリー
須崎市青木町1-16
050-8803-8668
http://machikado-gallery.jimdo.com/
開催時間9:00~17:00 月曜日休館