連日36度を上回る酷暑の高松。
しかし気温を上回るアツいイベントが今年香川県では行われています。
そう、瀬戸の島々を舞台に開催されている瀬戸内国際芸術祭。
今回香川県の観音寺沖にある伊吹島に行ってきました。
ここはうどんのだしに使われるいりこ漁が盛んな、うどん県香川を支える重要な島。
実際僕の友人たちも季節労働で泊り込みで出稼ぎに行ったりしています。
自分にとってはこれが初の伊吹行きとなりました。
どこか沖縄方面の港のような観音寺港、ここからもう旅感ハンパ無いです。
船は三階建ての大きなもの、それでも甲板まで人で埋め尽くされ、昔旅した中国の船を思い出しました。とにかく物凄い人。
30分程で伊吹島が見えてきます。。港にはすでに帰りの船を待つ大勢の人の行列が。大量旗が飾られ、島が芸術祭でにわかに活気付いているのが遠くからでも見てとれます。
空から見たらハート型に見える島は周囲をいりこ工場が埋め尽くし、居住区は島の中心部に固まっています。そのため港からすぐ心臓破りの上り坂!島民は皆スクーターで移動、他の島に見られるような寂れた感じはあまりなく、産業がある地域の強さと誇りを感じさせる雰囲気が伝わってきました。
迷路のような島の坂道を、芸術祭の看板と港でもらった地図を頼りに登る、登る。お昼時は日差しを遮るモノも無く、気温はグングンあがってきます。正直これはかなりキツイ・・・日傘はあったほうがいいかも知れませんね。一気に汗だくに。
しかし心配せずとも島内の至る所にボランティアが運営する無料の休憩所があります。お茶のお接待にいりこ食べ放題という大盤振る舞い!僕もそうだったけど子供ってにぼしとか小魚好きなので沢山食べてました。
休憩していると関西弁の集団が入って来て、「わ~懐かしい!」と。話を聞いているとこの休憩所は閉店した商店で、そのおばちゃんは伊吹島出身で、今は尼崎に住んでいるとのこと。「ここに棚があってアイスキャンデーを作っていたんよ、全然変わってないわぁ」芸術祭をきっかけに20年ぶりに島に帰ってきたそう。島のハレの日が、様々な人を呼び戻していました。
作品の一つ、レインボーハットは島で現地調達した材料を使ったドーム。水中に仕込まれたガラスが反射して、天井に虹色のプリズムが浮かび上がるというもの。
ゆらゆらと揺れる不思議な光は是非現地で体験して欲しい。周囲の自然と一体化した半地下広場に浮かび上がる不思議空間。。。作家の関口さんはインドのゴアでこれを作り始め、その後新潟、瀬戸内とそれぞれの場所で作品を作り続けてきたそう。
そしてそのまま道を歩くと広がる一面のひまわり畑・・・レインボーハットから上には作品は無く、通常の伊吹島の日常風景が広がります。本当にここは香川県なのかな?というような、遠くまで旅に来たような気持ちになりました。
これは大岩オスカールさんの作品。体育館の中にあるビニールで出来たドーム内、黒マジックで一気に書き上げた孤島の風景に圧倒されます。子供たちも大はしゃぎ。廃校になった小学校がアートにより蘇る。
教室内も豊福亮さんによる5万個の浮きを使った展示に埋め尽くされていました。魚の巨大な群れの固まりが突き進むイメージは、まるで海の中を歩くよう。
帰路に着くと、思い出すのは伊吹島の迷路のような独特の景観や、あの坂を彷徨ったこと。そして島の最上部に咲き誇っていた一面のひまわり畑だったりします。そう、やっぱりアートは呼び水に過ぎなくて、あの休憩所の尼崎のおばちゃんみたいに、芸術祭でもなければ、下手したら一生行かなかったであろう島の風景こそ本物なのだろうと。
この夏、香川ではアツいイベントが開かれています。感度の高い多様な人たちを呼び寄せ、猛暑の瀬戸内海で掻き混ぜ、純粋培養する。そこから一体何が産まれるのか?残るものは何なのか?是非皆さんもその目で確認しに来てください。
瀬戸内国際芸術祭2013 アートと島を巡る瀬戸内海の四季
http://setouchi-artfest.jp/
夏|7月20日[土]—9月1日[日]44日間
秋|10月5日[土]—11月4日[月・休]31日間
[開催地]瀬戸内海の12の島+高松・宇野
直島/豊島/女木島/男木島/小豆島/大島/犬島/沙弥島[春のみ]/本島[秋のみ]/高見島[秋のみ]/粟島[秋のみ]/ 伊吹島[夏のみ]/高松港・宇野港周辺