「素描とは 素直に 素朴に 素早く 描くこと」
文房具屋ならどこでも買えるボールペン一本で、さらさらと風景を素描する素描家しゅんしゅん。紙の上に落とされた点や線は、生きているかのようにあったかくて、やさしい。真っ黒いボールペンで描かれた風景なのに、色や温度を感じるのは、彼の人柄があったかくてやさしいからなのだと思う。
東京を中心に各地で個展を開いたり、香川で2年に一度開催を予定している「瀬戸内生活工芸祭」にも参加するなど、素描家として活動するしゅんしゅんさんは広島在住だが、実は高知生まれ。小さい頃にすぐ東京へ移住したけれど、お祖母さんも暮らしている高知は故郷のようなもの。2014年10月に自費出版で発行した素描集「主の糸」にも高知の店がたくさん登場している。
素描集『主の糸 nushi no ito - 三十六の素描の旅』
しゅんしゅんさんが約3年間のうちに訪れた全国各地のカフェ、ギャラリー、ショップなど36店舗の素描を収録した一冊。訪れたときの出来事や感じたことも一緒に添えられている。
自費出版ではあるけれど装丁にこだわった美しい本。上製本だがハードカバーが無く、糸かがり綴じで綴じられた背は糸がそのまま見える。
素描集『主の糸』 のコンセプト▼
『主の糸』に 収録されている36店舗のうち、高知は「雨風食堂」「KIKONI SISKO」「竹村活版室」の3店舗を描いた素描が収録されている。
下の写真はそのうちの一軒「竹村活版室」が掲載されているページ。
店の風景を素描するとき、「不安定さが良いから」と、店の片隅で立ったまま描くことが多い。
その不安定さは、場の空気感をそのままペン先に伝えてくれるのかもしれない。描きはじめてからだいたい30分から40分で、「素直に 素朴に 素早く」、風景が素描になる。
『主の糸』に収録されている四国の店は他にも。徳島からは「aalto coffee」と「uta no tane」が。
上の写真は「uta no tane」が掲載されているページ。
全国36店舗を収録したこの素描集はしゅんしゅんさんの作品集としてだけでなく、気になる店もたくさん載っていて旅に出たくなる一冊でもある。
素描集の取扱店はコチラ→ <shop>
ぜひどこかで手に取って「素描」と「旅」を楽しんでほしい。
『主の糸』原画展も開催
2014年12月には高知県・いの町紙の博物館で催された「紙ものまつり」の中で『主の糸』原画展を開催。2015年2月7日から2月22日までは徳島県・uta no taneにも原画展が巡回している。