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《高知・須崎特集》
閉ざされた空間に光が差し込む、
新たな須崎アートのはじまり
~現代地方譚2現場レポート⑤

高知県立美術館の新たな大コレクション、写真家・石元泰博作品専用展示室が完成!

2014.10.29 

《高知・須崎特集》 閉ざされた空間に光が差し込む、 新たな須崎アートのはじまり ~現代地方譚2現場レポート⑥

展示期間が残り1週間となった『現代地方譚2』
本日ご紹介するのは、残り3つの展示会場です。

3人の作家が紡ぐ、須崎の記憶

E会場の須崎駅は 1924 年(大正 13 年)3 月 30 日に土讃線の前身となる高知線の起点駅として開業しました。今年で90周年になります。
遠浅の海に囲まれていた駅周辺や町中は、この土讃線の建設によって埋立てをされました。

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人々の発着の場所の要である駅。
今は自動車が普及し、利用客も少なくなりましたが、そこには見えないドラマが沢山起こっている非日常と日常が入り混じる特別な空間のようにも思えます。

こちらで展示されているのは、まちかどギャラリーの記事でもご紹介した写真家の西村知巳さんです。西村さんの作品は学生時代を過ごした相模原など日本各地の郊外都市などにおいて、自ら出会った様々な人や場所を写真で捉え、それらについてテキストを添える作風です。
旅行をしながら写真を撮影し作品制作をされることもあり、高知県にも何度も通われており、須崎市にも来られることが多く、須崎駅や汽車は西村さんにとって縁が深い場所だそうです。

西村さんの写真は、一瞬をやさしく切り取ったものから、ドキッとするようなアングルのもの、自然な表情のものなど、駅の中あちらこちらに飾られています。

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それは何かを探しているような感覚にも似ています。
愛しい誰かをふいに思い出したり、遠い昔に忘れていた気持ちになったり、色んな気持ちが溢れだしそうになります。
写真と一緒に飾られているテキストがそんな気持ちをさらに大きくしています。

駅から少し離れたB会場では、染色家の山崎香織さんの作品が展示されています。

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なまこ壁といわれる工法の特徴的な建物が目印です。

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これは、壁に平瓦といわれる、反りのついた板瓦を並べて打ち付け瓦の継ぎ目に漆喰をかまぼこ形に盛りつけて、ななめ格子などの模様を造る工法のことで、その継ぎ目の形がなまこに似ていることから名付けられました。
装飾的な目的だけでなく、耐火や雨水を防ぐ役割もあったそうです。
この場所でウエスタンな雰囲気のジーンズショップ「シェーン」が営業されていたというのは、一見アンマッチながらも、なんとなくしっくりきてしまうのは日本人独自の感覚なのかもしれないね、とキュレーターの竹崎氏は話します。

中に足を踏み入れると、圧倒的な存在感の3枚の布が飾られています。

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山崎さんは須崎の町中を歩き、作品の要素を集めました。
須崎市は海の町、漁港のある町、ということで大漁旗をイメージしているそうです。
海の上を舞う鳥、トタンのサビや塗装のはがれなど、自ら目にしたものを作品に落とし込んでいます。

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この3枚の布は、遠近で眺めて観る、表裏から観る、色んな角度から観る、といった楽しみ方が出来ます。
染色という技法で表現された、山崎さんの感じた須崎がぎゅっと凝縮されています。

まちかどギャラリーを通りすぎて、駄菓子屋に向かう途中のF会場の茶室では、美術作家の川鍋達さんの作品が展示されています。

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川鍋さんはドイツで十数年作家活動をした経験をもつ千葉出身の作家です。
総務省の事業である地域おこし協力隊に応募し、昨年の 5 月からまちかどギャラリーの担
当者として須崎市に派遣されました。
近年は、空間を利用した作品を中心に制作しています。
川鍋さんの作品は、冷静で繊細な人柄がそのまま出ている、と言われるほど細部に至るまで正確で丁寧だ、とキュレーターの竹崎氏は話しています。

2畳ほどの茶室に蛍光色の絵画。
一見すると、茶室に奇抜な色味だ、と感じられるかもしれませんが実際に見てみると窓から差し込む自然光に照らされて、空間を包み込んでいます。

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川鍋さんは、海外での生活も長く、今回の展示作品はその頃に経験したことも大きく関わっている、と言います。
自身が美術の腕を磨くために海外に渡ったのですが、その場所ではいつも日本のことを聞かれていたそうです。自分は海外のことを知りたくて来たのに、いつの間にか日本の話しばかりをしている、と気づいてから、日本のことや禅といった昔から残る文化を意識するようになった、と話していました。

茶室という日本の美意識や機能美のつまった空間で表現された作品は、川鍋さんのこれまでをより一層強く映しだしているようにも感じます。

今回は詳しくご紹介しておりませんが、須崎市立市民文化会館では10 月 11 日に須崎市民体育館で行われたライブパフォーマンスユニットの山/完全版さん、嶋尾パルピーちゃん with コッティ君などのゲストが行ったオープニングライブの様子を上映しています。

現代地方譚関連企画

『ぐるり譚歩(現代地方譚まちあるき)』
展示会場をぐるりとご案内します。
開催日:11月1日(土)、2日(日)、3日(祝・月)
時 間:13:00~(約90分)・JR須崎駅集合
参加費:お1人様1,000円(お土産付き/ギャラリー入館料、保険代込み)
ガイド:1日・上野伊代/2日、3日・須崎高等学校商業部

『地場産品販売』
須崎市の地場産品を販売します。
開催日:11月1日(土)、2日(日)、3日(祝・月)
時 間:9:00~17:00
※まちかどカフェ(ドリンクのみ)も同日営業

★関連企画についての問合せ・申込みは、すさきまちかどギャラリー(050-8803-8668)まで。

33.388846, 133.285721

展示期間

11月3日(月)まで。
時間は9:00~17:00。
問合せは、すさきまちかどギャラリー(050-8803-8668)へ。
■Facebookページ⇒https://www.facebook.com/airsusaki
■関連記事⇒■関連記事⇒須崎市でアーティストインレジデンス「現代地方譚2」開催
擬態語と感動詞が飛び交うパフォーマンス 須崎「現代地方譚2」 現場レポート①
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須崎に立ち寄ったらこちらへも!

鳥よし➡http://459magazine.jp/food/10076/
桑田山温泉➡http://459magazine.jp/journey/8636/
発生寺➡http://459magazine.jp/journey/7433/
須崎漁港➡http://459magazine.jp/journey/2554/
浦の内湾➡http://459magazine.jp/journey/3857/

おでかけコロカルへの提供記事
宮進商店のからすみ➡http://colocal.jp/odekake/29723.html

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