「まちかどギャラリー」の入り口から蔵の展示作家・作品については、現代地方譚2現場レポート④をご覧ください。
母屋には4名の作家の作品が展示されています。
3畳ほどのスペースに敷き詰められているのは、ポラロイド写真。
写真家の森本美絵さんの作品です。
今回、森本さんは制作する予定ではなかったのですが、須崎市にいる間に撮りためた記録写真が急きょ作品となり、発表することになりました。
レジデンス作家の日々の営み、ギャラリーに訪れる人たち、風景など、森本さんは様々な場面でシャッターを切り続けました。
ガシャン、というシャッター音は一瞬一瞬を記録するためのものですが、それらがごく自然に鳴り響くほど、2週間という時間の中に溶け込んでいました。
古くなったカメラと買いだめしていて使う機会のなかった劣化したフィルムは、赤色が強くはっきりとした色味を感じることはできません。
しかし、その中に映し出されているものは見えない何かを含んでいるようにも感じられます。
それは昔を紡ぎながら生まれ変わっていく、まちかどギャラリーという場所、その場所で過ごした人たちから醸し出される想いの強さかもしれません。
森本さんの作品の横に展示されているのは、画家の持塚三樹さんの作品です。
持塚さんは画家ですが、彫刻作品も制作しています。
今回作品に使用しているのは、まちかどギャラリーから出た廃材です。
町の方が所蔵していた鳥獣戯画の模写をヒントに作られたそうで、一本の細長い木には波、船、山、鳥などが彫られていて、ひとつの物語を見ているような気分になります。
持塚さんは彫刻作品と一緒に思いついたイメージなどを絵の中に落とし込む作業をします。
それがどこを示しているのか具体的には分かりませんが、持塚さんの感じた須崎市が何枚かの飾られた絵の中に閉じ込められています。
部屋の奥に展示されているのは、画家のクサナギシンペイさんの作品です。
初めて須崎市にリサーチに来られたときに直感的にふすま絵を描きたいと思ったそうです。
ふすまにキャンバスを貼るということは、昔から地元で表具屋さんをされている職人さんにとっても非常に難しいことでしたが、無事に作業が終わり制作に取りかかりました。
ふすま一面に大胆に描かれた絵の中には、淡く、しっとりとした優しいタッチで、海の風景や蟠蛇森、まちかどギャラリーから見える景色など、ふすま一面にクサナギさんの感じた須崎市がちりばめられています。
どの絵を中心に見つめるかで、絵自体の見え方や浮かび上がってくる印象が変わっていくので、じっくりと腰を据えてじっくりと眺めてみたくなります。
クサナギさんの隣の部屋に展示されているのは、写真家の西村知巳さんの作品です。
西村さんの作品は須崎駅でも展示されていますが、こちらではテイストの異なる写真を見ることができます。
壁に掛けられているのは、地元の女性とキュレーターの竹崎氏の写真です。
普段見られない表情をしている女性の写真の隣には、彼女が書き綴った文章が飾られています。
ガッチャン、という音を立てている先には、西村さんが今回の滞在中に撮影した何気ない風景や人物の写真が次々に映し出されています。 カメラを意識していない作家の表情や、同じ人物を連写しているものなど、西村さんがファインダー越しに覗いた世界を体感させてくれているようにも思えます。
まちかどギャラリーには、2週間滞在した7名の作家の熱量が今も所々にじわりと残っているようです。
それは、きちんとした綺麗な言葉にはできないかもしれませんが、心と頭の中に残るものがそのことを訴えかけています。
※まちかどギャラリーのみ入館料200円が必要です。
展示期間
11月3日(月)まで。
時間は9:00~17:00。
問合せは、すさきまちかどギャラリー(050-8803-8668)へ。
■Facebookページ⇒https://www.facebook.com/airsusaki
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