すさきまちかどギャラリー主催の「現代地方譚2」。
今回は町中の空き家や空き店舗を利用した展示会場が点在しています。
前回ご紹介した『錦湯』から少し離れたG会場『駄菓子屋』もそのひとつです。
外観を見ても駄菓子屋の面影はまったくありません。
この建物の特徴は、通し土間があること。
ドアを開けて中を覗くと、人が1人通れるほどの細長い土間が表(入口)から家の奥にかけて真っ直ぐ続いています。
このような造りは、家の裏に川や海がある商家に見られるそうで、船で運ばれてきた物資を家の中に運ぶために効率的な構造にされた、と言われているそうです。
駄菓子屋の近くには、富士が浜という海があるのでこのことが関係しているのかもしれません。
カラフルな色彩が溢れる空間
駄菓子屋では、3人の作家の作品が展示されています。
最初に目を引くのが、高知県土佐清水市在住の絵本作家・ひさまつまゆこさんの作品です。
2013年9月に出版された「やさしいかいじゅう」という絵本の原画や登場する動物の人形が飾られています。
「やさしいかいじゅう」は森の中で嫌われ者のかいじゅうが主人公です。
毎日泣いていたかいじゅうは、かいじゅうの涙で生まれた木と友達になります。
かいじゅうに守られて木は成長し、やがて木の実をつけ、かいじゅうの寝床になるほど大きくなりました。
そんなある日、森は嵐に見舞われ、かいじゅうを嫌い、バカにしていた動物たちは大変困っていました。そんな動物たちの姿を見たかいじゅうは…。
ひさまつさんの絵本は色鮮やかで綺麗なイラストに、やさしいことばがちりばめられた宝石箱のようです。
おとなが見てもため息が出るほど、迫力があり、ずっと眺めていたくなります。
原画の中から自分のお気に入りの絵を見つける方も多く、ただ見るだけではなく、こうした楽しみ方も出来ます。
ひさまつさんの展示場所の隣には、石井葉子さんの作品が並んでいます。
石井葉子さんは、神やヒトをテーマにした大型作品や、土地に由来するものや根付くものをモチーフにした作品を発表しており、近年では岡山県の犬島を基点にした“妖怪イヌジマ”などを手掛けています。
今年の夏には高知県の沖の島を舞台にした“初猫祭プロジェクト”を実施しました。
迷路のような性質を持つ島の道を、謎解きしながら進む冒険ゲームのような体験型のアートイベントで、猫(初猫)を導き役として介在させました。
石井さんはアートを通じて、土地の歴史や文化を知り理解してもらう、ということに加えて、地元とのコミュニケーションを交え、新たな角度で楽しむという試みに取り組んでいます。
駄菓子屋横のガレージには、イラストレーターの丸岡慎一さんの作品が展示されています。
現在、須崎市の隣町である中土佐町の地域おこし協力隊としても活動中です。
丸岡さんは「見る」ことを違った角度で感じてもらえるようなものを意識して制作されているそうです。
繊細で淡い色使いのものもあれば、はっきりとしたタッチで遊び心が見えるものが混在している大きな2枚の絵は隅々まで目が離せません。
この人は何を考えているのだろうか、どうしてこんな表情をしているのだろうか、という風に絵のひとつひとつにストーリーを思わせてくれるようです。
現代アートというだけでなく、総合的に文化を見せていくことを意識した、というキュレーターの竹崎氏が選んだテイストの異なる3者の作品は「現代地方譚2」の幅広さを感じさせられます。
まるで、駄菓子屋のように様々なおかしがあちらこちらにあり目移りしてしまうような、そんな感覚を覚える空間です。
展示期間
11月3日(月)まで。
時間は9:00~17:00。
問合せは、すさきまちかどギャラリー(050-8803-8668)へ。
■Facebookページ⇒https://www.facebook.com/airsusaki
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